受付時間 月〜金曜 9:00~17:00 (土日祝休み)

タイ語キーボードのお話

 
この記事を書いている人 - WRITER -

「タイ語」とは

アユタヤ県地方の方言をベースとした、中央タイ語といわれる言語が、文章やメディア、式典などで使われています。

標準タイ語と、アユタヤ県のタイ語とは、日本語でいう標準日本語と、江戸っ子のいわゆる東京弁ほどの違いのようです。

タイ語を母語とする人口は2000万人以上です。

興味深いことは、タイとラオスの関係性。

タイ語とラオス語は、起源は同じとされますが、使用する文字は異なり、”同系”の意識はあっても、”同じ民族”という意識ではなく、使用する文字も異なります。

 

しかし、タイ東北部で話されている”イーサーン語”は、ラオス語との共通点が比較的多く、

ラオス語とだいたいの意思疎通が可能であるようです。

”タイ標準語”と”イーサーン語”の違いは小さく、イーサーン地方以外のタイ人が聞いても

概ね理解でき、これは日本でいうところの、東京弁と大阪弁の違いのように、通訳や字幕を必要としないのと同じことのようです。

 

またラオス人の多くは、子供の頃からテレビや映画はタイ語のものを見ており、逆にラオス語のものはほとんど見ていないようで、特にタイ語の教育を受けていなくても、かなり上手にタイ語を話すことができ、ラオス語の口語もタイからの文化流入を受けてタイ語化してきているようです。

 

タイ語のタイプライターとキーボード配列」

タイのタイプライターの歴史は、ラーマ5世の治世である1891年に遡ります。

タイ生まれのアメリカ人であるエドウィン・ハンター・マクファーランド氏は、タイ教育省の委嘱を受け渡米し、タイ語タイプライターの実現可能性を研究することになりました。

文字数の多いタイ語のタイピングには、ニューヨークのスミスプレミア社の製品が妥当であると判断されるようになります。

スミスプレミアのタイプライターにはシフトキーがなく、ラテンアルファベットの大文字と小文字は別々のキーに配置されるという、キーの数の多いものでした。

 

翌1892年、エドウィン・マクファーランド氏は、スミスプレミアのモデルによるタイ語のタイプライターを試作しタイに戻り、時の国王ラーマ5世に献上披露しました。

これがタイでのタイプライターの最初の歴史とされています。

エドウィン・マクファーランド氏は、試作品であるタイ語タイプライターの製品化と改良のため、再度アメリカに戻りますが、そこで1895年に亡くなってしまいます。

エドウィン・マクファーランド氏死去後、弟のジョージ・ブラッドレー・マクファーランド氏はその意思を継ぎ、1897年、タイ語のタイプライターが正式にタイ国内で販売されるようになり、政府機関や企業などで使用されるようになります。

 

1915年、スミスプレミア社はレミントン社に自社のタイプライターに関する権利を売却してしまいます。

レミントン社はスミスプレミア社製のタイプライターは機構的に時代遅れであると判断し、自社の機構によるモデルをタイ国内向けモデルとして販売するようになります。

しかしながら、タイ国内では使い慣れたスミスプレミア社の機構が支持されており、レミントン社の新しいタイプライターは、当時のタイ市場での人気が低迷していました。

 

ジョージ・マクファーランド氏は1915年の日記に次のように書いています。

『スミスプレミアのタイプライターは、タイ語のように子音に富んだ言語にとって、非常に合っている。(スミスプレミア社のモデルがなくなってしまうのは)タイにとって全く残念なことである』

 

ジョージ・マクファーランド氏は、レミントン社のタイにある支店と協力し、キー配列の改良に取り組みます。

1931年、タイ・レミントン社のスタッフSuwanprasert Kedmanee氏は、キーを当時のレミントン社製タイプライターに合うよう改良した配列を考案します。

この配列は開発者の名をとり、以後「Kedmanee配列」としてタイ語タイプライターを通じ普及することになります。

 

広く一般化したKedmanee配列ですが、コンピューターの時代が到来し、新たに使いやすい配列の提案がなされるようになります。

その中でも、Pattachoteという配列は、従来のKedmanee配列よりも運指やスピードに勝るとされ、国の機関であるタイ国立研究評議会においても、Kedmanee配列よりスムーズかつスピーディーにタイピングが行えると結論付けられました。

これを機会にPattachote配列は、タイの公的機関での使用が推奨されるようになります。

 

しかし、長い年月をかけて普及しきっていたKedmanee配列への支持は根強く、Pattachote配列が完全に取って変わることはありませんでした。

結局、Kedmanee 配列は、1988年にタイ工業規格協会により、標準配列(規格番号820-2531)として制定され、以後はKedmaneeとPattachoteという2種類が配列規格として併存する事態となりました。

 

現在でも、Windowsの入力ソフトIMEでは、Kedmanee配列、Pattachote配列の両方を入力配列の設定とすることが可能となっています。

しかし一般的には、Kedmanee配列が支持され続けています。

 

パソコンにキーボード表示を追加できる「マルチリンガルキーボードラベル」タイ語(「Kedmanee」配列)版は、下記にて販売中です。

光陽オンラインショップ楽天市場店

amazon

Yahoo!光陽オンラインショップ

この記事を書いている人 - WRITER -

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。