ジュートの魅力
ジュートとは、黃麻(こうま)という植物から作られる麻の種類の一つ。インドではインド麻などと呼ばれることもあります。
日本で麻といえば比較的イメージされやすいのがリネンですが、同じ麻でも植物としては別のもので、繊維の特徴や肌触りなどが全く違います。
一般的な樹木に比べると、ジュートは光合成による二酸化炭素の吸収力が高く、農薬を使用しなくてもぐんぐん成長します。
主な原産国は、気温が高く降水量の多いインドやバングラデシュなどの地域。
米が収穫されたあと、土壌を休ませるための二毛作として栽培されていることが多く、ジュートを育てるために森林を伐採するような心配はいりません。
さらに、収穫されたジュートから繊維を作るためには水を使用しますが、生産工程で排出される水を含む廃棄物は、地球環境を汚染することなく土に還されます。
そして、不要になったジュート製品は、焼却処分をする場合にも有害物質を出しません。もちろん、そのまま土に埋めてもバクテリアに分解されるため、環境にとても優しい繊維なのです。
ジュートが注目されている理由
このようにジュートは環境に優しい素材であること、そして繊維が非常に丈夫で汚れにも強いという特徴があるため、現在は欧米を始めとした世界各国でエコバッグなどの素材として定着しています。
ブームの歴史を紐解くと、ジュートはイギリスから世界へと広がっていったことがわかります。
かつて、イギリス(旧大英帝国)が統治していたインド領の西方(ウエストベンガル地方=現在のインドからバングラデシュ一帯)で利用されてきたジュート繊維は、産業革命の後、イギリス人の手により生産の工業化が進められました。
戦中から戦後までは野菜や穀物、コーヒー等農産物の輸送袋、カーペットの裏地等として、イギリス国内でも活用されていましたが、2000年に入る頃からは地球温暖化の深刻さに後押しされ、従来のプラスチック袋に代わるものとしてジュートバッグが消費者の支持を集めるようになったのです。
この流れを受けて、各企業も環境に配慮するというイメージアップ効果や利便性から、それぞれオリジナルのジュートバッグを取り揃えるようになりました。
スーパーマーケットやマルシェ、カフェなどの身近な企業だけでなく、英国王室バッキンガム宮殿や高級百貨店などの格式の高い施設でも採用されることでジュートの価値が見直され、ここ数十年の間に次第にヨーロッパ諸国、アメリカ、オーストラリアにまで広がっていったのです。
こんな人におすすめ
もしあなたが今、ノベルティや新商品の企画・開発において素材選びをしているなら、ぜひジュートも検討してみてください。
ジュートは下記のような魅力のある素材です。
ジュート素材 7つの魅力
つまり、ノベルティや新商品にジュートを採用することで、あなたのお店や会社は顧客に対して新しいデザインと利便性を届けられるだけでなく、環境問題や社会問題にも関心を持っていることをアピールできます。
消費活動を通じて、現代の日本に生きる自分たちのことだけでなく、世界とその未来まで見据えている高い意識を示すことができるのです。
ですから、ジュート製品はおしゃれなデザインや使い勝手を求める方はもちろん、企業の理念を伝えたりイメージアップを考えている方にもおすすめできる素材です。
PROCESSジュートの製造工程
次は収穫されたジュートが糸(繊維)となり、生地になっていく製造工程をご紹介いたします。
基礎品質選別工程
加工場に集積された生ジュートより、生産用途に合わせた選別を行います。天然繊維であるがゆえに、靭皮の部分によっても品質の差が生じるため、「千歯扱き」(その昔、稲穂の脱穀工程に用いられた鉄製の櫛状の農具)のような器具に打ち引きすることで細かく選別します。
こちらの工程では同時に繊維色によっても選別を行います。弊社ではこの工程により選別された品質の良い黄金色の「Tossa(トサ)」ジュートのみを製品に使用しています。
軟化工程
後工程に進めるためにジュート繊維の柔軟化、潤滑化を行います。
本工程専用の波条の溝がついた機械にジュート繊維を通過させ、その過程で水、油、界面活性剤を適正な配合で用い、適正な時間を要し繊維に浸透させます。
この過程ではジュート繊維に加工に適した柔らかさを与えますが、同時に特有の匂いを生じさせる原因になります。ただし、その匂いも時間とともに薄れていきます。
調整工程
軟化工程が終わると、繊維が緩み柔らかい状態で維持され糸としての加工を可能とするために、温かく管理された場所において2日~4日の間、積みおかれ保管されます。
ここまでが、素材を製品を作るのに適した状態にする、いわゆる下処理にあたる工程です。
カード処理工程
下処理を終えたジュートは、その繊維の方向を一定のものとし寄り集めるために、カード処理(カーディング)工程へと進みます。この工程は梳綿(そめん)とも呼ばれ、ジュート以外の製糸においても行われることの多い工程です。
製条・コーミング工程
ここでは、方向の揃ったジュート繊維をひも状のスライバと呼ばれる形に成形するためのコーミングと呼ばれる工程を行います。ジュート繊維においては多くの場合、スライバを調整し倍増する第一から均質化する第二の同工程を経て、スライバを圧着させる第三までの工程が行われます。
撚糸工程
前工程で作られたスライバを引き延ばしつつ、撚りを与える撚糸を行います。この段階でジュート繊維は、撚りは甘いものの糸の形となります。
巻糸工程
撚糸工程によって甘く撚られた糸をさらに引きジュート糸へと加工させます。ここまででジュート製の糸が完成します。
織り工程
ジュート糸を織機にかけ、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交差させてジュート布をつくります。弊社の製品では、用途による糸の太さや織目の違いによる製品ラインナップや、ジュートと綿の混紡布の取扱いがございます。
海外パートナー企業の
労働環境について
ジュートの原産国の一つであるバングラデシュは、決して豊かな国ではありません。
ですから、現地から輸入した資材や製品を日本で流通させれば、フェアトレードの一環として彼らの経済活動を支援することにつながります。
しかし実際のところ、現地の労働環境は全ての企業が良好な状態とは言えません。
女性や高齢者が無理に働かされていたり、児童労働が行われているなど問題を抱えているケースもあり、こうした海外企業から仕入れを行っているなら胸を張って「支援している」とは言い難いですよね。
また、ジュートを生産するために無理な開発による環境破壊などが行われていれば、環境に優しい素材どころか本末転倒です。
こんな状態に陥らないためにも、取引先となる会社がどんな海外企業をビジネスパートナーに選んでいるかはとても重要だと私たちは考えます。
弊社ではバングラデシュの企業および現地工場とパートナー契約を結び、お取引をさせていただいておりますが、定期的に視察と打ち合わせを実施。
- 品質が日本国内の水準に合致しているか
- 工場作業員の労働環境に問題がないか
などを直接確認し、日本国内で販売する最終製品に品質的・倫理的な問題が生じないように管理しています。
幸いにも、弊社のパートナーにおいては倫理的に問題のある児童労働の現場を目撃したことはございませんし、女性や高齢者の労働者の方々も無理せず、時には楽しげに生産の現場で働いていられることを確認しております(往々にしてマイペース過ぎて、こちらにしわ寄せが来ることは多々あります)。
もしあなたが環境問題や社会問題への関心からジュートにご興味を持ってくださったのなら、ジュート製品事業者をお選びいただく際の観点の一つとして、海外パートナーの環境も事前にご確認いただくことをおすすめいたします。
それでは次は、弊社のオリジナルジュート製品ラインナップについて、詳しくご紹介いたします。